今年最初の日本経済新聞の社説を読んで

社説 危機と政府(1)賢く時に大胆に、でも基本は市場信ぜよ
(日経 H21.1.1)

 米国から世界に広がった金融・経済危機は、経済活動への政府のかかわり方を根本から問い直している。

 米金融危機の一因に監督や規制の甘さがあったのは否めない。そして今は金融混乱の収拾や景気・雇用対策で政府の役割が期待されている。しかし資本主義の活力をいかすには国の介入は少ない方がよい。特に日本はまだ規制が多すぎる。

役割の再定義が必要

 どんなときに、どの程度の関与が望ましいのか。「小さな政府」から「大きな政府」へ振り子がふれるなかで政府の役割の再定義が必要だ。

 サッチャー元英首相、レーガン元米大統領らが1980年代に進めた規制緩和や民営化などの改革は競争力を強め、90年代を中心とした米欧の長期好況の基を築いた。

 市場を信頼し自由競争を重んじるこの保守主義の政策が金融危機を招いたとする見方もあるが、必ずしも正しくない。保守主義は「何でもご自由に」ではないからだ。問題は米欧の金融当局が、この政策思想を適切に運営しなかった点にある。

 所得も蓄えもないような人にまで住宅ローンを貸し、その債権を証券にして売る。そんな詐欺まがいの取引を見逃したのは金融当局のミス。金融危機の再来を防ぐため規制や監督の強化はぜひ必要である。

 一方、金融・経済の危機を受けて各国が取り始めた財政・金融政策は「大胆に、しかし一時的に」が大原則だ。30年代の大恐慌の後、ケインズが提唱したのは、景気の落ち込みをなだらかにする短期的な政策である。ノーベル経済学賞を受賞したJ・ブキャナン氏は、このケインズ的な財政政策は民主主義の政治過程のなかで財政を悪化させる傾向があると指摘した。国と地方の長期債務が国内総生産の1.5倍に膨らんだ日本はその典型である。

 昨今のように、市場経済の心臓部である金融部門が傷み、景気や雇用が落ち込むときには、大胆な財政活用も必要である。だが、そうした政策をダラダラと続けないためには、次の景気回復を引き寄せるような戦略的なカネの使い方が大事だ。

 例えば大都市部の空港や主要港湾の整備、環境対策車や太陽電池の開発・普及促進などは、経済の競争力を強めるのに意味がある。特に環境関連は地球温暖化阻止に役立つだけでなく、日本の技術力をいかし次の景気回復のリード役にできるので税金の使い道として有効である。

 雇用対策では必要性が高い分野の公共事業を含む当面の失業者救済とともに、職業訓練を通じて技術や知識を高め、次の職探しに役立ててもらう方策も大切である。

 また当面の危機克服策を、経済がどうなったときにやめるかという「撤退のメド」を決めておくのも過剰な介入を防ぐのに有用である。

 この時期にもう1つ重要なのは政府が保護主義に傾かないことだ。米国の自動車救済融資はやむを得ないが、欧州などの多くの国がマネし始めたのも事実。世界貿易機関(WTO)の協定にも触れるこの種の措置は、保護主義の連鎖を起こし貿易を縮小させかねない。WTOの多角的貿易交渉の大筋合意は年越しとなり農産物市場の開放問題を抱える日本政府はホッとしているが、そんな場合ではない。保護主義の広がりを抑えるため、貿易立国の日本こそ交渉の先頭に立つべきである。

役人の便乗を許すな

 経済危機が深まり政府への期待が高まるのに乗じて、規制や権限を強めようという動きが中央官庁や地方自治体の間で活発になっているのも憂慮すべき事態である。

 厚生労働省はインターネットによる医薬品の販売を規制する方針だ。離島や中山間地に住む人などに便利なこの販売を規制する理由がどこにあるのか。ドラッグストアなどを守るためだとしたら本末転倒だ。

 国土交通省が検討するタクシー業界への参入規制復活も弊害が多い。不況下でこの業界が雇用の場を提供している事実を軽視してはならない。地方自治体では、低価格で髪を刈るだけの店に洗髪設備を義務づける動きもある。既存の理髪店の保護が狙いとしか受け取れない。

 小泉政権の下で郵政事業の民営化などに踏み出したものの、医療、農業、教育、運輸など成長につながる多くの分野で、民間の力をいかすための改革が足踏みしている。この歩みはさらに遅れるのだろうか。

 賢くて強く、社会的弱者を守れる政府は必要だが、企業の活力をそぐお節介な政府や、国を借金漬けにする放漫な政府は要らない。経済の面では、市場経済がうまく回るような環境づくりを過不足なく進めるのが本来の役割だ。「大きな政府」待望論が強い今、あえて強調したい。


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日経新聞の今年最初の社説ですが、
頭の中が混乱している様子が見て取れます。

従来から「規制緩和」「小さな政府」の旗は降ろせない。
しかし信望する新自由主義の大本山アメリカがこの金融危機において
財政出動により自動車会社や金融会社を助けてしまった。

ここにおいて日経新聞は
「昨今のように、市場経済の心臓部である金融部門が傷み、
景気や雇用が落ち込むときには、大胆な財政活用も必要である」
と、思考の180度の転換を見せます。
そしてそれをはぐらかすため、
「政府の役割の再定義が必要」と言っているとしか思えません。

そして政府の再定義のその結論は、
「市場経済がうまく回るような環境づくりを
過不足なく進めるのが本来の役割」
という相も変わらない企業の活力のための改革、
規制緩和を推進することだそうです。

正直、意味がわかりません。
政府の役割の再定義とは何ですか?
そんなの外部、内部の要因に大きく左右されるのですから、
常に流動的で決め付けることなどできないでしょう。

それより必要なのは「政府の存在意義の再認識」だと思います。
政府の考えとして社会全体の富が増えれば、
たとえ一部の人間の富の増加だけによるものでもかまわないのか。
それとも広く一般の人たちが富を分かち合う結果、
社会全体の富が増加することを望むのか。

前者はまるで大企業や資本化による奴隷制のように、
一般の人たちからの搾取による一部の人間の突出した富の増加です。
後者は一人一人の人間の幸福に基いた社会全体の富の増加です。
日経新聞のいままでの立ち位置はあきらかに前者で、
前者の富を追求すればそれが社会全体に波及するという見解でした。

経済的な利益の追求を第一に考えるその思考、
経済的豊かさイコール幸福という考えがそもそも誤りだと思います。
あくまで国民全体の幸福の結果、経済的な繁栄も実現できる。
そのために政府が存在しているはずです。
ここを学び理解しないことには、未来に向かって前進できません。

そして日経新聞の考えでは、今回のアメリカの金融危機の理由は、
「市場を信頼し自由競争を重んじるこの保守主義の政策が
金融危機を招いたとする見方もあるが、必ずしも正しくない。
保守主義は「何でもご自由に」ではないからだ。
問題は米欧の金融当局が、
この政策思想を適切に運営しなかった点にある。」
そうで、また
「所得も蓄えもないような人にまで住宅ローンを貸し、
その債権を証券にして売る。
そんな詐欺まがいの取引を見逃したのは金融当局のミス」
との認識だそうです。

これもまるっきり反対でしょう。
企業利益を過度に追求する新自由主義の本質が、
このような事態を生んでしまったのが真相だと確信しています。
今後もいくら事細かに規制や監視をしたとしても、
その目をかいくぐって利益獲得の方法を考え出そうとするはずです。
イタチゴッコはかえって社会に混乱を招いてしまうでしょう。
やはり政府が一部の人間ではなく国民全体の幸福を考える、
という根本的な思想を明示し本気で取り組むことが大切でしょう。

ここまで日経新聞のおかしなところを見てきましたが、
一部、真っ当な良いことも言っています。
例えば大胆な財政活用の必要性、
次の景気回復を引き寄せるような戦略的なカネの使い方が大事、
という点や、
大都市部のインフラ整備、環境関連への投資などには賛成です。



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Author:株式会社コトワ 代表取締役 小牧 篤

株式会社コトワ 代表取締役、株式会社ビジネス・サポート・ポータル 副社長が日々の出来事について、気付いたこと思ったことを書いているブログです。

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出身地: 神奈川県
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自己紹介:こんにちは小牧です。ブログ『個と和』では日常の出来事について思ったことや感じたことを書いていきます。

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